現場と法務の優しい関係。

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こちらはDevLOVE Advent Calendar 2013 「現場」 のエントリーです。

自己紹介

略歴:法律事務所勤務3年間@大阪+開発も行う企業の法務部勤務約2年間@東京

本日はある企業の一法務部員の声をお届けできたらと思います。

現場とは

企業内の法務部に所属してまだ2年の私から見ると、「現場」とは遠いと感じる存在です。どのように仕事をしているのか、何を考え、何をやりたいと思っているのか、そして何を必要としているのか。その必要とされるものの中に法務は入っているのか。

法治国家の日本においては、争いが生じたときに当事者間の話し合いで解決できない場合に最終判断を行うのは裁判所です。そのため、当事者間における交渉段階でも裁判所の判断基準が交渉を有利に進めるポイントとなります。裁判において重要視されるのは契約書や記名捺印のある文書、議事録などです。そこで思うのが、紛争となった場合を念頭においた上でこれらの文書の作成に法務が関わっていけるといいのではないかということです。

ただ、残念ながら多くの会社における法務の体制ではそのすべてに関わることは不可能です。少なくとも最も重要である契約書の作成すべてに関与したいものの、その余裕すらなさそうです。 それでも、この遠い関係のままでいいのでしょうか。

現場と法務の関係

企業の法務部に入社し驚いたのが、現場の方から「法務はうるさい。案件を壊す。法務のせいで業務の開始が遅れる」などと思われ法務が敬遠されがちであるという事実でした。 現場と法務の考えは相反するのでしょうか。

相手方との関係が契約締結段階では良好なものであったとしても、一旦それが険悪なものとなると文書に明記されていない口約束などは反故にされかねません。そのため、法務では、最悪の場合を考えながら自社にとって不利な条件がないか、違法性はないか、などといった観点から契約書を確認します。案件を獲得できたとしても、契約条件が悪いと関係が悪化した場合には利益以上の損害を被ることもあり、そうなるとかえって会社や本人の利益を損ねることとなってしまうためです。つまりは、法務では、いかにして会社の権利や利益を守るかを考えながら契約書を確認しているのですが、それがひいては会社の発展・存続につながっていくのではないかと思っております。

現場も、会社の利益・発展・存続を願っているからこそ仕事をとろうとがんばっているのだと思っているのですが、そうであれば、現場と法務は同じ方向を向いているといえるのではないでしょうか。

いかにして守るのか

現場を理解せずして最適な文書の作成はできません。お互い足を引っ張り合う関係ではなく、よりよいものを作っていきたいという同じ思いのもとに現場と意思疎通を図りたいと私は思っておりますし、現場からも図ろうとしてもらえたらと願っております。業務内容が書かれた提案書などだけを見ても何をどう見たらいいのか私には分かりません。それでも理解したいと思いますし、業務を受託するにあたって不安な要素があるならどんなに些細なことでも言葉にして伝えて欲しいと思うのですが、この思いに対し現場のみなさまはどのようにお感じでしょうか。

最後に

No Contract, No Work.

もちろん契約書をただ締結すればいいわけではありません。また、支払条件に関しては、納品後60日以内の支払、買いたたき・代金減額の禁止などについて定められた下請法(下請代金支払遅延等防止法)もありますが、最低でも対等な条件で契約を締結できない限り、仕事はしないと主張できる関係が望ましいと思います。

お礼とご挨拶

前述のように、現場とは遠いもので、私には理解し難い世界だと感じておりましたが、DevLOVEでみなさまにお会いし、技術にはまったく明るくない私のわけの分からない質問に対しても丁寧に応答していただく中で共感できるものが多くあることに感動を覚えました。

今回、開発とは無縁の私にこのような場を与えて下さったみなさまに感謝するとともに、今後、私にとっての今の「現場」であるパソコンの前から脱して現場とのいい関係を築いていくことができればと思っております。 また来年もちょこちょことDevLOVEに参加させていただけますと幸いです。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

次の方へ

ふじもとさん、どうぞよろしくお願い致します。

以 上